# トリアージ 命の選別
トリアージとは、災害・事故、戦争などで一時に大勢の負傷者が発生した時に、重傷度によって治療の順番を決めること。 通常、個別の選別は現場の救急隊員や衛生兵の裁量に委ねられます。
ざっくり言うと、命を救えそうな被害者だけを助ける、そうでない者は見捨てる。
阪神淡路大震災のときもトリアージが行なわれ、納得できないと訴える犠牲者の遺族がいたそうです。
海外では、コロナの関係でトリアージの是非が議論されてきました。
まず、感染爆発があったイタリヤです。
数多くの重篤な患者が運び込まれるICU(集中治療室)の医療従事者は、ベッドの数が逼迫して悲痛な立場に追い込まれました。 トリアージを余儀なくされたのです。
命の選別など神の領域、私には絶対できない。 と言う医師がいる一方、次のような状況も起りました。 数ヶ月前、イタリヤで実際あったテレビ報道でした。ICUの残りのベッドは1床だけ、その病院に二人の重篤患者が運ばれた。一人は80歳、別の一人は20歳の青年。 どちらに救う努力? インタビューに応じた医師は苦しそうに、青年と答えました。
次は、コロナ禍が危機的になった昨春ニューヨークの話。 医療態勢は逼迫し集中治療のキャパは限界に迫った。
そこで、行政(新聞社?)がアンケート調査を実施した。
質問は前述のイタリヤのときと同じ。 すなわち、20歳の80歳の高齢者、どちらを優先?
高齢市民の答えの過半数が20歳の青年。 理由のコメントは、自分はもう十分長く生きた。
今後の人生が長い者を優先することは当然というものでした。
もし、日本が不幸にしてイタリヤやニューヨークのようになったら、このようなアンケートの結果はどうなるか? その前に、こういうことを話題にすること自体、日本ではタブーなのかも知れません。