年末年始の少数意見(2)動物と人間(23) 五感の中で何が一番大切?
仮に、貴方が大罪を犯して神を怒らせたとする。
罰として、お前の五感を全部取り上げる、ただ一つだけは残してあげる、
その一つを選んで申し出なさい、と神は通告した。
さあどれを選ぶ?
人間は視覚の動物といわれる。。 大多数の人は視覚だけは死守したいと思うだろう。
日常生活を考えれば、次の候補は多分聴覚。
ただ、或る意味、聴覚は視覚より大切。
なぜならば、視覚では、何か遮る物があると目標は見えない。
音は、直行する光と違って、遮蔽物を迂回できる。
除夜の鐘のお寺は見えないが、音はどこからでも聞こえる。
目が無く音だけに頼って生きる動物は多い コウモリ、深海魚など。
ここらで、生物全体の死守の優先順位を見てみよう。 それは、
皮膚感覚(触覚)=平衡感覚(内耳半規管、耳石)>味覚=視覚=聴覚
私(人間)も概ね同じ。
平衡感覚は地球に生息する全ての生き物に絶対不可欠・・・重力方向、身体の向き、頭部の回転などを検知。センサーは内耳に存在。内耳の病気、メヌエル病は悲惨。 全身は常にフワフア、自分の存在を否定されたような感覚、得体の知れない不安と恐怖が襲う。
皮膚感覚も地球上に棲む ほぼ全ての生き物に必要不可欠。 触覚がなければ動き回ることは不可能。何かを触っても感覚がな
い。 また、動かずジットしていても、自分の身体のどの部分からも信号が脳に来ない。 笑っても、泣いても、食べも喋っても
口や周りに感覚がない。 排泄もセックスも感覚なし。 宇宙空間の一点に自分一人放り出されたような超・違和感。
皮膚感覚を失う症例はある。 そのような患者は悲惨で2度と診たくないと告白する臨床医は少なくないと聞く。
我々も少しだけ体験することがある。 歯科医院で、麻酔をかけて親知らずを抜いて貰った後の数時間、口の周りや頬の感覚が喪
失、とても変な感覚。
平衡感覚も皮膚感覚も地球生物の進化過程で一番早く獲得した感覚。
視覚や聴覚は後で得た贅沢品のようなもの。
味覚はどうか?
生物は食べないと生きていけない。生物の歴史はライバルと食物を奪い合う闘争の歴史。 旨いの不味いのと好き嫌いがある奴は淘汰された。 また、毒物を舌で素早く見極められない種は絶滅した。
嗅覚はどうか? 嗅覚は空中や水中に漂う分子を捉える。 味覚の舌のように直接タッチではない。 この意味で、嗅覚は味覚を補填する。
以上から、最初に書いた神の質問に対する私の回答は、視覚、聴覚、味覚を失うことは寂しいが、皮膚感覚です。
って、障害物を迂回できる。
現に、視覚は駄目だが聴覚