市中感染の数理科学(6)「うつし率モデル」による感染拡大予測

 

グラフは毎日テレビや新聞に出るPCR検査・新規 感染者数とは違います

それは「うつし率モデル」が推定する体内ウイルス量です。

違いは下のイラストから明らかと思います。

 

PCR検査は、ウイルスの出入り口におけるチェックに過ぎません。

それと、陽性か陰性か(1または0)の2択の1/0信号の時系列です。 なので、体内のウイルスの状況は分りません。 

ウイルスが体内に入り、さらに細胞に侵入して着床、この過程でウイルスは

増殖中? それとも減少中? 分りません。

 

うつし率の定義、および、うつし率モデルについては

2021年2月、3月 市中感染の数理科学(2)~(5)、および、

2020年6月、7月 集団感染の数理とシミュレーション(1)-(6)などのブログに書きました。

 

冒頭のグラフに戻って、うつし率が0.16付近を超えて高くなるとウイルス量は時間と共に増加していきます。

とくに、うつし率が0.25を超えると増加は急峻になることが見て取れます。 言い換えると、短時間で感染爆発に至る

ということです。 

このことは、従来型に比べて感染力(うつし力)が1.5~1.7倍ほど強いとされる

変異型ウイルスN501Y(イギリス株)による急速な感染拡大が昨今、大阪や東京で現在進行中という事実に合致します。

 

以下の一連の図は、うつし率、ウイルス量、時間(日数)を ” 見える化 ” したものです。 

基本、2020年7月のシミュレーション結果と同じものです。

今回の試算の対象は、10x10=100人の集団です。

対象を400x400人=16万人に広げることは、10万円くらいの普通のPCを使っても可能です

(16Gバイト・メモリー)。

しかし、先の図のような「見える化」の表示はスペースの関係で無理です。

それと、「大数の法則」により(註)、対象が100人でも10万人でも冒頭のグラフと大きな違いはありません。

なお、見える化の図を見れば分りますが、2次、3次、4次・・・感染がゴチャゴチャになっていて

感染経路を一義的に特定することは困難です。 この意味で、メディアが時々口にする「実効再生産数」をはじきだすことも

困難であり、また、施設内感染と違い(クラスター)、市中感染(不特定多数の集団)の場合、その意味もあまり無いと言わざるを得ません。

 

註) 大数の法則

サンプル数が十分に多ければ、全体(母集団)の真実を反映するというものです。https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12377.html

たとえば、市長選挙、開票数が10人や20人では何も言えない。しかし、投票締め切りから数分後にメディアが「当選確実」と報道することは珍しくありません。疫学調査、マーケッティング調査、世論調査アンケートでも大数の法則が用いられます。

また、プロ野球の開幕当初は実績ない打者が4割、5割の驚きの打率になるが、30試合を超えるころ(1,2月後)になると実力相応の数字に落ちつくものです。

 

 

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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