医学と獣医学の垣根を取り払う(2)

<旧Yahoo ブログ(2017年)から抜粋>

UCLAの若い女医だったバーバラ・N・ホロウィッツに、ある日、ロスアンジャエルス動物園から電話があった。ある動物(牛の仲間?)が急性の心臓疾患を発症したが、心臓関係の獣医が用事で不在。そこで、その分野が専門の彼女に助けを求めてきたのだ。彼女が駆けつけて一件落着。 感謝された。

それ以来、彼女と動物園は親交を深めた。  本業の合間を見て動物園には何度も訪れた。

やがて彼女はあることに気がついた。 人間に起こる殆どの病気は動物にも起こる、それだけではなく、その症状や経過推移、レントゲン、エコー、MRIなどの診断所見も本質は同じであることが分った。たとえば、キリンの乳癌も、ヒグマの鬱病もそうだ。

 

更に彼女が驚いたことには、そのような動物の病気に対して、人間の場合には見たことも聞いたことも無い治療を獣医は行っている。 しかも、成功している。

このことを、UCLAの医師達に伝えたが誰も聞いてくれなかった。 実は、多くの獣医も以前から機会あるたびにUCLA医学部に伝えていた。

しかし、反応はなかった。 獣医を相手にすることは無かった。 獣医学や獣医を見下していたのである。

 

諦める一方で、獣医たちは開き直って次のように言い放った。

世界中の医師という職業人は、動物界の中で人類という1種族だけしか見ていない。 我々は違う。 横断的な広い観点から医療を考え、研究、診断、治療を行ってきた。

そこには共通する普遍性がある。 我々は器が違う。

 

その後、聞く耳をもつ医師も少しづつ増えてきた。

彼女を取材したジャーナリストの協力もあって本を出版。

たちまち、世界の話題となり、医学界から講演依頼が殺到した。

獣医学・医学・進化医学を統合する学問として、「汎動物学」という国際学会も立ち上げた。ホロウィッツ女史は会長となっている。

 

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