スーパーマーケット: 無人レジ構想
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(更新: 大事な最初のイラストを張り忘れていました。 それを追加しました)
キーワード:磁気シート貼り付け商品 マイ端末(バーコード読み取り、消磁)
磁気検出ゲート 無人キャッシャー 無人出口 人件費削減 スピード感 待ち行列緩和
万引き・不正自動防止
背景
コンピュータの進歩とAIの台頭に伴い、現代社会の多くの仕組みが自動化、無人化の方向に進んでいます。 このトレンドの例は米アマゾン社が2年前の2016年から試験的に取り組んでいる「レジなし無人スーパー」の構想です。 それは、食料雑貨の買い物に革命をもたすものと言われています。
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-42770553
店舗の天井に並べた多数の監視カメラで個々の来店者を特定し、どの客がどの商品を選ぶかを追跡することによって会計精算を自動的に可能にするというものです。 似たような方向性を、アマゾンに限らず、欧米、中国、日本などの企業が現在進行形で追及しているものと想像できます。
アマゾンは自社の従業員を客として動員した試験運用を行いました。 その結果、多くの問題点が浮き彫りになりました。
たとえば、似た体系や顔の客の区別をできなかったり、子供が商品を間違って棚に戻した場合に対応できなかったりと、いくつかの問題が散発しました。 このため本格的な実用には至っていないのが現状です。
これらの問題の解決には、IT・AIソフト面の根本的な改善・イノベーションや監視カメラのさらなる増設などが求められます。 今後、高い完成度を得る為には時間と莫大な費用と多くの研究技術人員の投入が必要です。 プロジェクトの費用対効果の課題は大丈夫か疑問です。 総じて、いかにもアメリカらしい「力づく」のアプローチという印象です。 テロリストや犯罪者の大規模捜索を連想してしまいます。
本題
ここではアマゾン的なものとは違うアローチを考えます。 それは、個々の客を特定・追跡するカメラも、人物認証AIソフトも必要としません。 既存技術を出来るだけ利用してコストを抑えることを考えます。 特長は、個々の客が店内で持ち歩く「マイ端末」です。 そして、それに関係する「技術の見えない主役」磁気です。
また、業界の頭痛の種である万引きを自動的に防止にするメリットもあります。
<図は画面クリックで拡大>
(1)全ての商品には、一つ一つ、 バーコードまたはQRコードに並べて磁石シートを貼り付ける(図1)。
(2)入店に際して、客は入り口付近に置かれたマイ端末を一つ拾いあげて、店内に居る間は持ち歩く(図1)。
(3)客は、買う意志がある商品を取り上げる。 その物品のバーコードをマイ端末に読み込む。 同時に、バーコードに隣接した磁石シートをマイ端末の表側に接触させる。 すると、磁気シートは無力化される(消磁、脱磁)。 これらのために、マイ端末の表側を、商品に貼り付けたバーコードと磁石シートの双方をカバーするように“ペタン”と接触させる(図1)。
(4)上が終れば、その商品の磁場発生は止まる。マイ端末の裏側を見れば、そこには現時点までの会計明細と合計が表示されている。この為に、マイ端末表側で読み取ったバーコード情報は無線で店のサーバーに送られる(客ごとに異なる周波数の電波)。そして、更新された客別データをマイ端末に返す(図1)。
(5)次の買いたい品物が見つかれば(3)、(4)を繰り返す(図1,2)。
(6)買い物が全部終ったら、出口の方に進む。 そこには第1ゲートと第2ゲートがある。 第1ゲートは磁気検出のアーチである。 (3)の消磁が正しく実行されていれば、アーチをスンナリ通り抜ける(図2)。 次の無人キャッシャーに進む。
(7)無人キャシャーでは、マイ端末を機械に提示し、端末番号をサーバーが読み取る。請求額が返され、客は支払いを済ます。その店のカードを使えばポイントが貰える。
(8)最後はマイ端末を回収置き場に返還。最終出口となる第2ゲートが開く。
マイ端末は1mほどの下り坂を滑り落ちて、ベルトコンベアに乗る。マイ端末は店の技術部門に運ばれ、そこで数値などの初期化および磁石シートを再活性(着磁)させて次の使用に備える(図2)。
(9) もし(6)で赤信号となりストップされたら、マイ端末の店員呼び出しのボタンを押す。 方向性を持つ小型棒状の磁気検出器をもった係員が来てくれる。 問題箇所の磁気源=異分子を探し出す(図3)。 係員が来る前に自力で問題解決をしても良い(消磁のやり直し、問題物品の放棄など(図3)。 問題無しならば青のGO信号が点灯し、あとは(6)と同じ。
(10) もし(9)の問題解決に時間がかかりそうな場合は特別レーンに係員が連れて行く(図2)。そこは通常のスーパーと同じ。 専任が担当する有人レジがあります。
本提案独自のキーワードは、全ての商品に貼る磁気シート(図1)、マイ端末の消磁機能(図1)、 出口の磁気検出(図2)です。また、磁気シートの回収、そして、それを再使用するために 新たに着磁する機能も必要です(図2)。 薄膜磁気シートについては、サイズや磁気強度の大小様々なものが市販されています。 たとえば、 https://www.magtec.co.jp/product/rubber_magnet_seat.html 磁場は強力である必要はありません。 店内の平均的な電磁背景レベルの10倍くらいで十分です。 シートのサイズは、マイ端末の消磁面に収まるようにします(図1)。 消磁器についても様々なタイプが市販されています。サイズや消磁性能については、 前述の磁気シートとの整合性を考えて選択します。 多少の残留磁気があっても、それが背景レベル以下なら問題ありません。 https://www.monotaro.com/k/store/%8F%C1%8E%A5%8A%ED/ https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223000663675/
・マイ端末はリサイクル品です。 使用後は回収して磁石シートの適切な再・着磁が必要。 様々な着磁器が市販されています。 消磁器と兼用できるものもあります。
出口付近の第1ゲートで磁気検出を実施します(図2)。 地磁気測定のような高感度の必要はありません。 背景磁場の10倍程度に反応できれば十分です。 ただ、大きなアーチ型の装置なので特注となります(図2)。 出口のキャッシャーではマイ端末をスマホに繋いで、そこから自宅の家計簿を更新することも可能です。
不正や万引きは自動的に防止されます。 売り場の商品は全て着磁されています。 買うための正しい手続きはマイ端末が行います。 結果は消磁です。 もし、買い物を終って出口の磁気検出アーチで引っ掛かれば、その客は何か磁気を発する物を持っていることになります(図3)。 購入商品のどれかにマイ端末を宛てることを忘れた、あるいは、それは意図的だった。 購入商品を衣服のポケットや私物の鞄や袋に隠していた。 あるいは間違えて入れた。 不注意でも意図的でも、上の二つの件は発覚します。 入店前から何か私物の磁性体をもっていた。これは磁気検出アーチを入り口にも設置すれば防げます。
他の悪質な不正について 一つは、マイ端末のバーコード読み取り窓をテープなどで塞ぐことです。 消磁はされるので、磁気検出アーチで引っ掛かることなく、キャッシャーまで行けます。 しかし、バーコードを読み込んでないので、当該の品物は請求リストに含まれない。 客はタダで頂くことになります。 これを阻止するために、マイ端末に消磁器の起動ボタンを付けます。このボタンと連動してバーコード読み取り電子回路 がONになるように設定します。 問題としている不正では、消磁起動ボタンのON信号があるのに、バーコード情報は空白です。不正は露見されます。 ・別の悪質な不正は、自前の消磁器を客が持ち込むことです。 これを阻止するためには入店の時点で身体検査を行うことしかなさそうです。 しかし、それは「やりすぎ」、現実的ではありません。
品物をカートに入れた後で気が変わり、商品棚に戻したいときは? マイ端末を宛てる前なら、単純に戻せば良い。 マイ端末の操作が終っていると、少々厄介です。店員呼び出しボタンを押して適切に処理して貰うことになります。 一番は、端末操作は個々の商品を選び出すときではなく、買い物が全部終って、 磁気検出アーチの手前で一括して行うことです。 展望運用が軌道に乗れば、何かのトラブルで特別レーンに足を運ぶ人は少数で、 殆どの来店者はスピード感を持ってすんなり買い物を済ませます。 途中、買い物客の手を煩わせる「セルフサービス」は商品の取り上げ、マイ端末タッチ、 そして無人キャシャーでの支払いだけです。 余程のことがない限り、 長い待ち行列はどこにも起こりません。
他方、アマゾン方式では、買い物客は店内で全くフリーです。 唯一のセルフは商品を棚から手に取るところだけです。 しかし、冒頭に紹介したように、実験では様々な問題が生じています。 多数の監視カメラや最先端のIT・AIのハードとソフトを動員して全ての客を個人単位で追跡しようとしても、 理想通りに上手くは行かないことが現状です。 アマゾンの理想は近未来には恐らくは実現できるかもしれません。
しかし、たとえそうでも、次の世代までの当面は、費用対効果を考慮した上で、より現実的な自動化・無人化の路線 を模索する、その例が本提案です。その基本はスーパーに限らず、 量販店やコンビニなどの小売業界でも通用するかもしれません。
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磁場の人体や商品への影響は大丈夫か?キーワード: 自然磁場 社会環境磁場 磁気シールド 磁気浮上列車・客室 テスラ
本提案のスーパーマーケットは磁石に囲まれることになります。 棚に置いた全商品に貼り付けられた薄膜磁気シートのためです。 店舗は磁気で充満します。 人体や商品への悪影響はないか?
「磁気、生体への影響」とネットに打ち込むと、数多くのURLにヒットします。たとえば http://www.nies.go.jp/kanko/news/9/9-6/9-6-02.html です。 総じて端的に言うと、磁界の生体への影響は不明な部分が多い。晒される磁場が比較的強い場合でさえも、影響の有無については研究者間で意見が分かれるようです。 では、本方式の磁気シートですが、これは商品の存在の有無だけを確認するためのマーカーに過ぎません。 バックグラウンドとして常に存在する磁場強度の平均より1桁高ければ十分なはずです。
では、その許容目安はどの程度の数字でしょうか? 人類は太古から、地磁気など自然界に存在する磁場(数10マイクロテスラ)の中で生存してきました。 ちなみに、人体それ自体も微弱な磁界を作っています(体液中のイオンの移動が原因)。 しかし、近年、テクノロジーの発展に伴い社会の電磁環境は急変しました。 磁界の背景レベルは昔とくらべれば非常に高くなっているはずです。
では、磁気シートの着磁・消磁や磁気検出アーチの感度の関係で何が言えるか? その答えは、前出URLの資料にヒントがあります。
それは、 「磁気浮上列車(リニア)では、客室内磁場が20ミリテスラ以下になるようにシールドされている」
これによれば、自然磁場に比べて3桁強い磁場でも人体への影響は無視できる、ということになります。 それは、商品磁気シートや磁気検出器の選定に際してミリテスラ単位が基準になるということです。
では人ではなく商品への磁気シートの影響はどうか? たとえば、鉄分を多く含むホウレン草などへの影響です。 味が変わらないか? 今後の研究が必要です。
いづれにしても、外部からの電磁影響を極力少なくすることに越したことはありません。 店内の無線通信もあるからです。 スーパーの建物全体をすっぽり磁気シールドすることも良いでしょう。 磁気シールドは大小多種多様のものが市販されています。
なお、次のような対策も考えられます。 商品は戸棚やケースに磁気シールド付きで普段は保管する、客が開閉できる引き戸を付ける。 あるいは、商品を個別に磁気シールド包装紙(ビニールなどプラスティックはNO)でくるむ。 しかし、そこまでやる必要はないと思います。
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