自然災害大国と国是(2)
自衛隊法の改正も必要
先の第10条を踏まえると、自衛隊法の見直しも必要。
<現行・自衛隊法>
第三条 自衛隊の任務: 自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、”直接侵略及び間接侵略”に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。
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何から守るの?
敵国の武力侵略。 正解、しかし、それだけ?
ここにも自然災害という言葉は見当たらない。
“直接侵略”や”間接侵略”の行為者(侵略者)に自然も含まれるということなのか?
このことを、ハッキリさせるために↓
<改正案>
第三条 自衛隊の任務: 自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、武力を手段または背景とする侵略、
及び、自然災害に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。
今の自衛隊法は全部で126条ある。 その多くが、組織や人事に関する事務的な内規や手続きに関すること。もちろん、本来の任務である「国防」の条文も多く、事細かく諸事を定めている。
しかし、現行の第三条と同様に、他国の武力侵略を想定した文脈が主体である。
自然災害に対する言及も一部ある。
しかし、災害時の自衛隊の出動には原則として知事の要請が必要となっている。自衛隊は従属的である。
自衛隊は自衛隊として独自に主体性を持つように改正することが良いと思う。
たとえば、栃木県の鬼怒川流域で大雨があって、警戒水位を越えた。
下流への影響は明らか。 予測できた洪水が実際起こり被害が出てから
埼玉県知事が自衛隊に出動要請。 こんな馬鹿げた話はない。
水は高い場所から低い所に流れる。
上流の大雨は遅れて下流域に影響を与える(広域時間差災害)。
この小学生にも分る道理を軽視した結果が、千曲川、阿武隈川、多摩川などの
下流域で起こった今回の災害。 広域観点が欠如した油断と怠慢に、怒った自然の神様が科した罰といえる。
ただ、19号の接近に際して関係政府当局は
「数十年に一度の暴風雨、あなたと大切な人の命を守ることに全力を注いで下さい」。
この激甚災害メッセージを何度も繰り返していた。 住居、家財、マイカー、田畑の心配など無用、とにかく安全な場所に早く逃げて下さい、と私は解釈した。 適切なメッセージ。
この警告を守った人は、家の一階も庭も水と泥で全滅、復旧の目処も立たない、しかし命は助かった、不幸中の幸いと感じた被災者は多くいたと思う。
ところで、避難勧告より強い避難指示。 一方、アメリカではハリケーンや山火事のとき
避難命令。 アメリカはストレートに強制。 日米の国民性の違いと思う。
自衛隊は災害発生時に限らず、平時の防災や復旧・復興にも恒常的かつ主導的な役割が与えられることが望ましい。
このために、自衛隊は、隊員の増員の他に、下のような新たな専用装備の増強と確保が必要である。
車両、重機、輸送船、輸送機、ヘリコプター、オスプレイ、ドローン、水陸両用車、潜水艇、除雪車、電源車、給水車、ポンプ車などである。
これらに要する費用と人件費の総額は安くはない。
しかし、通常の防衛予算の大きな割合(たとえば、30%程度)を当てる価値があるのでないだろうか?
それと、大学に防災学科を創設してはどうだろうか?
<参考コラム>
古代から、揚子江と黄河を制する者が中国を制すと言われた。
大河は流域の肥沃な土壌を作り農耕の恩恵は計り知れない、その一方、氾濫が起こると人の命と財産を奪う。
ナイル川の治水は古代エジプト文明、チグリス・ユーフラテス川の治水はメソポタミア文明を育んだ。
伊達政宗は慶長三陸地震の復興事業を精力的に行なった。 防風林、塩田開発、そして海岸の建物禁止令。
水産業者は高台に居住、仕事のときだけ海岸に通う。 当初は守られたが、3世代経つと規制は忘れられた。
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