2軍より1軍の成績が良い選手が時々いる。 何故か?
野手ならマット・ケンプ外野手。
高校時代は野球、アメフト、バスケの掛けもち、「3スター」として全米スポーツ界が注目。 MLBのウインターミーティング(日本のドラフト会議に相当)でLAドジャースが1位指名。 即戦力として活躍が期待されたが、ルーキーの年は、意外にも、ドジャースのチーム事情もあって傘下の3Aマイナー契約。打撃成績は3割に届かず期待したほどではなく終った。
2年目は開幕から1軍レギュラーで大活躍。
連日のヒーローインタビューでケンプは言い放った、
「僕は1軍の方が合っている。2軍の投手は球が暴れる。 何を投げ来るのか予測ができない。 その一方、コントロールが良い1軍投手はスタイルが確立しているので、1球1球の意図が読める。 次の球を予測しやすい。」
今年で35歳のケンプはメジャー14年間で通算打率2割8分5厘、281本塁打、1010打点、183盗塁をマーク。オールスターには3回、ゴールドグラブ賞には2回選出されている。
日本ではどうか? 投手なら元千葉ロッテの左腕
成瀬 善久。
2003年ドラフト6順目で横浜高校からロッテに入団。
2005年までは2軍生活、この間の成績は防御率3.0前後で2軍としても平凡。
2007年は開幕ローテーション入りし、驚異の16勝1敗、防御率1.81。オールスターゲームに出場、月間MVPを2度受賞し、最優秀防御率、最優秀投手を獲得した。 2009年は、オールスターゲーム後に無傷の7連勝を果たして11勝をあげ、年俸1億円に到達した。NPB通算は96勝76敗、防御率3.43。
打者ケンプからの小生の類推だが、成瀬の頭の中では「2軍の打者はどんな球(コース、球種)を狙っているのか意図が皆目判らない。その一方、1軍の打者なら或る程度分る。 だから勝負しやすい。」
もしかして、10人に一人くらい、そのような2軍投手がいるかも知れない。
千葉ロッテ・藤原 恭大 外野手 20歳
大阪桐蔭高校では4季連続甲子園に出場し、3年生の時に春夏連覇を達成。
その時の主力、走行守揃った将来のスター。 2018年、ドラフト1位でロッテ入団。 2019年開幕スタメン。 しかし、甲子園の金属バットのようにはいかず、6試合で2軍落ち(19打数2安打)。
イースターン・リーグでは本塁打の数はチーム1だが三振も多く、打率は2割台前半を低迷。
球団は1軍昇格を我慢して暫く下で熟成を決断。
ところが10月中盤になって1軍に大異変が起きた。2週間前には首位ソフトバンク・ホークスにゲーム差ゼロで並んだ。ところが、突然、打線が極度の不振に陥った。直近の月間チーム打率は、なんと、2割8厘の貧打。
加えて、ロッテ1軍にコロナ禍が襲った。 北海道遠征から帰京すると、主力を含むレギュラー10数人がPCR陽性、あるいは、濃厚接触者と認定され登録抹消を余儀なくされた。 チームが組めなくなった。そこで、仕方なく、藤原を含む替えの選手が多数2軍から調達された。勝てる訳がない。2週間前は14あった貯金は3となり、今は西武と楽天を相手にCS出場権2位を目指して熾烈な争いを演じている。
ここからが本題の藤原恭大。
打線の1番または2番に据えられて孤軍奮闘中。 1軍昇格後は打率2割7分1厘、2本塁打。
冒頭に紹介したマット・ケンプのような選手なのかも知れない。