廃炉計画案(5)
少数意見あれこれ
各工程の説明キーワード 丸ごと石棺詰め→水槽→浮力利用→石棺浮上→曳家(ひきや)工法 下り坂レール→港→イカダ→曳航→超深海・日本海溝投棄
工程のイラストを上に再掲します。 ①から⑧は次のように4種類に区分けされます。
①の石棺建造、②③の水槽準備、④⑤⑥のレール敷設、⑦⑧のイカダ制作と投棄準備
それぞれのグループは独立した同時進行のプロジェクトとなります。①-⑧⑨を順番に説明します。
① 原子炉格納容器の全体を使用済燃料プールも一緒に丸ごと掘り起こし露出させます。 掘り起こしは、容器の土台、および、その下の土壌も含みます。この土壌は、溶け落ちたデブリ(図中の赤)の崩壊熱の為に高温状態まま、高レベルの放射線を出しています。 これらを全て根こそぎ石棺に封じ込めます。
作業員は防護服を着用です。 ただし、石棺建造は、高い線量の石棺中身(格納容器、使用済燃料プール、汚染土壌)から距離をとって行う土建作業です。参考コラム1の「直接的被爆」を避けるためです。 つまり、「遠巻き」の施工です。間に鉛の遮蔽板を置くことも良い。
ここまでは、チェリノブイリの石棺詰めと大差ありません。ハイテク・ロボットは必要ありません。 放射線関係を除けば、工事自体の難易度は黒部級のダム建設と大きな差はなく、日本の得意分野のはずです。
②石棺を水で満たした巨大プールで囲い込みます。 プールの水位は調整可能です。 アルキメデスの原理より、プール内で石棺が占める体積(排水量)を増やせば、石棺は浮力で上に押し上げられます。この排水量の増大はプールに注入する水量、すなわち、プールの水位を高くすることで可能となります。 |
③④ プールに水を注入し、石棺を浮力で押し上げます。石棺の底面が、あらかじめ決められた「地表」を若干越えたときに、プールの水を抜きはじめます。水位は下がり、やがて、石棺上部がプール上に姿を現します。 このとき、プール側面からレールが伸びてきます。水抜きの結果、浮力は減少し、石棺は沈下してゆきます。 その沈下過程のどこかで、石棺底面に取り付けた歯車車輪がギザギザ・レールに接触し、噛み合います。 その後も水抜きは続き、やがて、石棺全体はレール上にガッチリと載せられることになります。
もし何らかの原因で、レール接触との上下のタイミングが正確に合わないときは、水注入と水抜きの繰り返しで微調整します。また、歯車車輪とギザギザ・レールとの前後の噛み合いにズレが生じて上手くいかないときは、重機を使ってレールの出し入れを微調整します。
⑤⑥ 重機により、石棺は地表に引き出されます。 暫くは水平に移動します。この部分は、建物全体を傷つけることなく、ジャッキを用いて移動させる「ひき家=曳家(ひきや)」工法http://www.nihon-hikiya.or.jp/hikiya.html
と似ています。
⑦やがて、レールは海岸の港に向かう下り坂となります。 歯車車輪とギザギザ・レールですから、坂を滑って暴走することはありません。重機による速度制御によって石棺はゆっくりと港に停泊中の大きなイカダの上に敷いたレールに乗り移り停止します。 大型船の進水式のようなイメージです。
⑧⑨イカダはタグボートで日本海溝の上まで曳航され、着いたら錘とともに投棄されます。