お風呂の温度
今朝の或る情報番組、健康上、摂氏何度が良いか?
ぬるめ? あつめ? 39度? 42度?
つかる長さは?
数人が、それぞれ自分の意見をあれこれ披露。
その間、専門の先生が色々と医学的な見地から解説。
心臓・血流循環系、呼吸器系、消化器系、交感神経/副交感神経
さらにはヒートショックプロテインにも言及。
そして温度で変わる相互作用も丁寧にレクチャー
これら全部、興味深かった。
ただ、一つ視点が欠けていると思えた。
それは、加齢、体調で温度に対する感度は鈍る、一部は
温度レセプターのレベルからも分っている事実。
「温感」は風呂場の温度計とは違う。
母が存命中、母が入った風呂には待っていた家族全員熱くて入れなかった。
味覚も加齢で鈍る。
年寄りは、淡白な食感を好むイメージがあるようだが、それは違う。
舌の味レセプターの感度
味蕾(みらい)
が鈍って、強い味のコッテリした食べ物を好む
傾向があるという。
お風呂の話に戻って、
我々は、身体の生理メカニズム(解明途上も多々)を良く理解しながら風呂に
浸かるのではない。 浴槽の立ち振る舞いを支配するのは、
正確で信頼性も高いデジタル温度計ではなく、
感覚や気分ではないだろうか?
入浴の長さについては感覚系に普遍的に内在する順応現象がある。
(ちなみに痛覚は順応しないとされる)
最初はとても熱くても、2,3分すればそうでなくなる。
お風呂の最適温度について話をするのなら順応(馴れ)の問題も避けて通れない。
ついでに、温度感覚とは妙なもの。
凄く熱い湯の入った瞬間、一瞬だが、「ブルブル」と悪寒が走る。
これは皮膚感覚の一つ温度受容器の性質に根拠がある。「温度感度 対 温度」特性の曲線データ
を見れば分る。
厳寒の冬山で凍死に直面した遭難者は「暑い! 暑い!」 と叫びながら衣服を脱ぎ捨て
裸になろうとする。 ただし、この現象は温度レセプターの問題ではなく、
低温が正常な脳機能にダメージを与えたのだろう(錯乱)。
薬物やアルコールも、入浴との関係で、似たような脳障害を起こす危険が潜んで
いるかもしれない。